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虚構と現実の狭間で

小笠原徳彦 '98.01.30


なにやら大上段に振りかぶってしまったタイトルですが、「秘伝の声」とヒストリカルな江戸との関係などについて、思い付くままつらつらと書いていこうと思います。

「秘伝の声」は、「リサーチ主義」を標榜しています。ルールブックにしろサプリメントにしろ、まず資料を調べ、事実を掘り下げ、それを元に執筆するという態度を取ってきているつもりです。

しかし、事実を調べれば調べるほど、「常識と史実の違い」を知ることになります。時代劇や時代小説によって形成された「常識」は、往々にして史実とは(無視できないほど)異なるのです。そこで我々が考えなければならないのは、史実を重視する余り、時代劇の常識を切り捨ててしまっていないか、あるいはその逆で、時代劇・時代小説らしい楽しさを提供するために、史実を大きく捻じ曲げてしまうのはよいことなのか、ということです。

「火盗改メ」の一筆者としての私の見解は、「ヒストリカルなサプリメントの場合は基本的には史実重視。ただし史実とは異なる時代小説の常識がある場合は両論併記とする」というものです。少なくとも「秘伝の声」の私の担当部分や、「日本剣豪譚(演遊編)」はそのようなスタンスで書いたつもりです。

このようなスタンスが果たして正しいのか、私にも自信はありません。ことによると、史実の江戸時代とも時代劇の江戸時代とも微妙に異なる、「秘伝の声」の江戸時代、とでもいうものが求められるのかもしれません。例えばWhite Wolf Game Studioの提供する魅力的な背景世界、The World of Darknessが現代社会の裏返しであるように。

しかしなんにせよ、RPGというのは虚構、つまるところウソを楽しむモノなわけです。どうせつくなら、ホントに見えるウソをつきたいですよね。ウソをホントに見せるための材料を提供したい、というのが、我々の願いなのですが。それは果たして上手く行っているのでしょうか? 皆さまのご意見をお伺いできればと思います。


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