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はじめに


「時代劇をプレイするなら時代小説を読め」


これは、「秘伝の声」シリーズで何度か主張してきたことです。プレイする世界の世界観を知ってこそロールプレイが活き、より深く理解すればそれだけゲームの楽しさも増すというものです。そのためにはやはり時代小説を多く読んで欲しいという結論になるのですが、「そんな暇ないよ」とか「別に時代劇のRPGがしたいのであって、そう熱心に時代小説を薦められても」とか「もっと手っ取り早くプレイに関係しそうなものだけでいい」の声もあるでしょう。

本書は、そんな方々を含めた皆さんに贈る「大江戸ガイド」です。

皆さんは江戸という都市をどう捉えているでしょうか。また、そこに住む人とその生活を。「時代劇なら毎週何本か見ている」という人でもよく分かってなかったり、誤解しているのではないかと思います。たとえば女性の立場。男尊女卑の傾向が強く、妻は夫にひどい仕打ちを受けてもただひたすら従うのみ。当然、夫の方が立場の強い、そんな江戸でしょうか。たとえば生活レベル。裏長屋に住むものは絶えず貧苦に喘いでおり、店賃はもちろん日々の生活費を捻出するのにも大変な苦労をする、そんな江戸でしょうか。あなたが仮に、もしそう思っているなら、本書はあなたの目から鱗を落としてくれること間違いなしでしょう。(実際の所はどうだったのか、それは本文でお確かめ下さい。)

本書は全六章で構成されています。「第一章 江戸概要」では江戸の歴史に始まり、交通事情や上下水道など、江戸という都市の特色が分かります。「第二章 生活案内」では、江戸に住む人々(主に庶民)の生活を衣食住といったレベルから解説をしており、「秘伝の声」の「江戸の衣食住」をはるかにパワーアップさせた内容になっています。「第三章 商売案内」では多数の業態・業種を紹介。「秘伝の声」の職業の章に優るとも劣らない量へのこだわりを見せています。「第四章 娯楽案内」では、江戸の庶民が親しんだ芝居や出版などといった娯楽について詳しい説明を加えています。「第五章 行事案内」では、江戸時代にあった年間行事や、イベント、記念日の類を月毎にまとめて記載しています。シナリオに季節感を出したり、`つかみ'に使用したりといろいろと有効な活用法が考えられます。そして「第六章 江戸切絵図案内」では、当時出版されていた「尾張屋版切絵図」のコピーを載せ、ランドマークとなる場所・建物に数行の解説を加えています。ぜひ地図をセッションに利用して下さい。

本書執筆にあたって著者の富多君は今回も多数の資料を猟集し、忙しい本業の合間を縫って書き上げました。彼の努力の甲斐あって、本書も例に漏れず、時代劇への熱き想いが伝わってくるような本になりました。単なる「プレイガイド」だけではなく「時代小説を読むための手引き」としても利用可能なこの本によって、あなたがお江戸の街で華々しい活躍が出来ることを祈って…。

菅原広弥

富田浩之と火盗改メ
駄文書き及び下らないボケ担当



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