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監修者の独り言
--- るろ剣サプリ 「熱血専用!」化計画(笑)---

富田浩之 '99.03.07


「秘伝の声」は本格時代劇RPGです。時代劇や時代小説を再現するべくデ ザインしています。

「秘伝の声」基本システムを支えるサプリメント群は、この「秘伝の声」の 基本スタンスにのっとった形でデザインされればよいと考えていました。それ がたとえビデオゲームや漫画が題材であったとしても、その「世界」を舞台に 「秘伝の声」的にプレイできればそれで十分だったのです。少なくともデザイ ナーである私はそう思っていました。

「明治剣客浪漫譚」の制作に着手するまでは……。


「明治剣客浪漫譚」は、週刊少年ジャンプ連載中の「るろうに剣心」を再現 するためのサプリメントです。いや、正確には、単行本1巻および3巻に掲載 されている読み切り作品「るろうに」を再現するためのサプリメントとして企 画しました。

当時、すでにジャンプ漫画の公式に乗っ取った展開を見せていた「るろうに 剣心」は我々の眼中にはなかったのです。読み切り作品の分だけなら、「秘伝 の声」の雰囲気を崩すことなく、十分に再現が可能でした。


しかし、侍魂増補版「修羅の道なり」が発刊されたことで、状況が一変しま す。「明治剣客浪漫譚」の執筆者である高橋君は、チャムチャムがキャラク ターデータに入らなかったことに大きなショックを受けたのです。

そして、自分の本には、愛する者を入れられなかった悲しみを、他のファン に味あわせることをよしとせず、「全キャラデータ化」を公言したのです。

思えば、この時からすでに、それは始まっていたのでしょう。


98年の夏コミに出したべーたー版を出した頃、火盗改メのメンバーのおが さわらくんは、るろ剣再現のためにはスピード感のある戦闘システムの導入が 不可欠、との考えに行き着いていました。

しかし、「秘伝の声」の戦闘システムとジャンプ漫画の戦闘は、あまりにも かけ離れた存在です。メインデザイナーである私はあきらめていました。「秘 伝の声」は時代劇に特化されたシステムであることは百も承知です。それをい まさら・・・。

ここでスバラシイアイデアを出してくれたのは、やはり、海外RPGに精通 した火盗改メメンバー・おがさわらくんでした。 それが、そのアイデアこそが、

るろ剣サプリ「熱血専用!」化計画

だったのです!(笑)

彼のアイデアは、「秘伝の声」でゲーム中唯一増減するパラメータ「座布 団」に着目、これを「明治剣客浪漫譚」では中核に据えるという ものでした。座布団は、状況やキャラクターに合った、かっこいいロールプレ イをした場合に与えられるポイントです。これを頻繁に与えることで、セリフ の応酬を活発化させようというのが狙いでした。


これによって、ジャンプ漫画にありがちな口はっちょ……いや、特有のセリ フによる精神戦闘や、倒れても起きあがってくるゾンビ的……いやいや、精神 が肉体を超越した気力による極限戦闘、展開の安さ……うんみゃ、ドラマ ティック化など、「秘伝の声」でもジャンプ漫画を再現できるようになったのです。

すでに国産RPGがストーリー指向へと向かっており、「天羅万象」などを プレイしていた私にも、このようなルールの作成は難しいものではありません でした。


しかし、あらゆるルールの追加は、基本システムを大きく崩すものであって はなりません。そうでなければ、サプリメントではなく、単独のゲームになっ てしまうからです。すべてのフィーチャーは、新たに強化された「座布団」シ ステムに背負わせることになります。

座布団を消費して放つ「必殺技」については、同時に相手の座布団も減らす ことにしています。これは、座布団を2ポイント消費するだけで復活できる ルールに対して、あまりにもハイリスク・ローリターンだったためです。こう して、座布団はゲーム中唯一変動するパラメータとして、ヒットポイントやマ ジックポイント、さらにはセッション後の経験点として機能していくようにな りました。


そして私は、ここに至って気が付きました。

たしかに、「熱血専用!」のような安い展開、「天羅万象」のようなセリフ の応酬を想定はしていました。しかし、システムの本質はこのどちらにも似て いません。むしろ、ある未訳RPGに近付いたように感じられてなりません。

そう、あのすべての能力がストレングスに集約される汎用RPG「TWERPS」 に・・・。

るろ剣サプリ「熱血専用!」化計画は、結果としてるろ剣サプリ「TWERPS」 化計画として完成されたような気がしてなりません(笑)


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