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「ベルガリアード物語」とRPGのシナリオ

小笠原徳彦 '98.01.20


えー、しばらくぶりの御無沙汰でした。

みなさまご承知の通り、昨年の12月29日はコミケでした。今回は私はアメリカにいたために参加できなかったんですが、火盗改メのプロダクツをお買い上げいただいたみなさまには感謝感謝であります。

さて、この「四方山話」、「秘伝の声の参考に」ということでネタを絞りすぎて書くことがなかなか見つからないでいたんですが、ちょっとスタンスを見直しまして、お気楽にRPGやら同人活動やら時代劇・時代小説について書くというモノにしたいと思っております。どうぞ今後ともよろしくお願いいたします。ぺこり。


え、ご挨拶はこの辺にしまして。

友人に長い間進められていたのですが手を付けないでいた、デイヴィット・エディングス「ベルガリアード物語」「マロリオン物語」(共にハヤカワ文庫FT)を読みました。非常によくできたファンタジー小説でありまして、とても面白かったです。なにがよくできてるって、ストーリーやキャラクターもさることながら、「RPG的な役割分担」が明確である、というところが実に興味深い。

詳しくは小説の方を読んでいただくとして、本人の意思とは無関係に闇と対決する宿命を持った少年、数千年の寿命を持つ魔法使い、無類の善人で実務的な鍛冶屋、少年を守るために熊に変身する宿命を持った戦士、馬と意志を通じ合うことができる男、直情的にして弓の天才、勇敢で無敵であるが思慮に欠ける騎士、天才的な商売人にして策謀家の密偵である王子、少年と結ばれる運命にあるわがままな少女、などが、入れ替わり立ち替わり困難な局面に遭遇して、ある特定の人間でなければできない方法で解決していく、というような展開になっています。

これって、「秘伝の声」のような、非戦闘系以外の非常に多彩な職業と個性を持ったPCを作ることができるRPGのキャンペーン化の手法としてとても参考になると思います。ある職業でなければ克服できない、またある個性を持っているからこそ発生する困難に立ち向かい、それを一つずつ乗り越えることで最終的な目標を目指す。これなら、非戦闘系以外のキャラクターも活躍の場がうまれますし、全員の達成感もあるというものです。

「指輪物語」や「魔法の国ザンス」もそうなのですが、やはりファンタジーというものは役割分担の宝庫ですな。私はRPGの入門としてファンタジーが適当、という意見には懐疑的なのですが、ファンタジー小説がRPGのキャンペーンの叩き台として使える、というのは確かだと思いました。

特にファンタジーを時代小説風に上手く翻案できたら、元ネタがばれにくく、イイものができるんじゃないかなぁ、なんて思います。


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