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あとがき

名刀工・源清麿が、心ならずも遺した数打ちの駄刀。遺言を受け て師匠の数打ちの駄刀をすべて折るために旅をする弟子・鬼麿。

隆慶一郎「鬼麿斬人剣」で主人公・鬼麿が握る長刀のような役目 を、本サプリメントは持っているといえましょう。

思えば、初版の「殺しの掟」は、新刊を間に合わせるために急造したサプリメン トでした。 LaTeX 組版も行わず、ワープロ での書式設定もそこそこに、リサーチも文章内容も不本意なもの。 「秘伝の声」関連プロダクツの中で見劣りするのは否めませんでした。

ですから、「殺しの掟」初版はこの私の「数打ちの駄刀」。とす るならば、この第三版対応版はその駄刀を折る「鬼麿の長刀」なの です。


あらためまして、お待たせいたしました。「殺しの掟」第三版対 応版の登場です。初版から三年あまりの月日を経て、ようやくの再 登場となりました。

今回は、なんとか「秘伝の声」のサプリメントとして恥ずかしく ないものができた、と思っています。

今回の改訂はほとんど新作といっていい作りになっています。す べての文章をリライトし、わかりやすさや丁寧な解説を主眼に執筆 しました。

また、仕掛人という、リサーチし得ない職業を扱うので、サプリ メントとしての深みを持たせるために、新たにプロの暗殺者として 「とがり屋」を独自に設定しています。この無慈悲な殺し屋像は、 F・フォーサイスの「ジャッカルの日」をモデルにしています。海 外の傑作RPG「Shadowrun」のようなビジネスとしての暗殺もま た、意識しています。


このサプリメントの位置づけは、「秘伝の声」を始めてみようと いう入門者向けのサプリメントです。

「秘伝の声」はあらゆる時代劇を再現するためのコアルールとし て作られているので、プレイしにくい部分があると思います。ま た、各サプリメントも、時代劇の一ジャンルを広くリサーチしてい るため、定番パターンのようなものを用意できていません。

「殺しの掟」では、対象を仕掛人ととがり屋という専門職に絞り 込むことで、 シナリオの定番パターンになる「仕掛けの流れ」を提供することが 可能になりました。シナリオが作りやすく、プレイヤーもプレイし やすい環境を整えることが出来たと思います。

ですが、つらかったのは、このサプリメント執筆中、ずっと人を 殺す方法について考え続けていたことでした。これは精神衛生上良 くありません。健全な精神活動ではないですね。池波正太郎先生 が、「仕掛人」シリーズをそうたくさん書けない、と言った理由も このあたりにあったのでは、などと思ってしまいました。


今回も数多くの人の協力で、本書は完成しました。

火盗改メのメンバー諸氏には、相変わらず無理をお願いしては、 それに応えてもらっています。毎度感謝に堪えません。

不確定名わーうるふのメンバー諸氏、喫呵亭の岩倉遼子先生に は、いつも創作意欲を刺激していただいております。みなさんの作 品も心待ちにしております。

本書「殺しの掟」のタイトルは故・池波正太郎先生の同名作品か らいただいております。この魅力的な名前に負けない作品になるよ う、努力したつもりです。

それから、ユーザー登録葉書を送っていただいた皆様に、この場 を借りて御礼申し上げます。また、いつも当サークルにお立ち寄り いただく皆様に感謝いたします。皆様の声が我々の励みになってお ります。ありがとうございます。

そして、本書を手にしている皆様すべてに感謝いたします。つた ないものではありますが、気に入っていただけるとうれしいのです が。

それでは、また次回作でお会いしましょう。

機動戦艦ナデシコ・ボーカルコレクション 「明日の艦長は君だ!」を聴きながら}

「殺しの掟」執筆担当 富田浩之

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