この章では、剣術の各流派の特徴をルール化するアイディアを挙げています。 以前のRPGマガジンで同様なことが紹介されていましたが、 それを「秘伝の声」流に料理したものです。
すべての流派についてオプションルールが用意されているわけではありません。 これは筆者の勉強不足も含めて、明確にルール化できるような特徴が、 その流派に残っていない、ということがあります。 その意味で、本オプションルールを導入するとバランスは多少損なわれるかもしれません。
ただし、本章で導入しているオプションルールは、使用できる状況が限定されていたり 効果がそれほど大きくなかったりしますので、オプションルールの有り無しによって 劇的にバランスが変化することはないでしょう。
「日本剣豪譚(演遊編)」旧版では付録扱いでしたが、上記の理由で、 今回は本文の一部としました。オプションとはいえ、ぜひ取り入れて遊ぶことを推奨いたします。
オプションルールの書式 |
オプションルールの「適用レベル」は、そのルールが適用されるレベルを表します。 単に数字の場合はそのレベル以上になります。 例えば新陰流の〈活人剣〉は適用レベル5、とありますので、 5レベル以上なら〈活人剣〉の特典を得ることができるのです。
また、「※」ならば、次の条件をすべて満たした場合だけ適用されます。 いわゆる奥義、奥伝といったものです。
注:ただし、引き算の結果がマイナスになった場合は1とします。
この値はあくまでも目安であり、 場合によって、GMは任意に(a)(b)(c)の年数を増減してください。
例えば、年数を減らすのにふさわしいエピソードとしては、次のようなものが考えられるでしょう。
→ (a), (b) 共に -8
→ (a), (b) 共に -5、(c) -1
→ (a), (b) 共に -2
→ (a), (b) 共に -1、(c) -1
→ (c) -1
目安としては、(c)は自得の期間ですから、これを減らすことはあまりしない方が良いでしょう。 また、自らを追い込めば追い込むほど奥義は得やすい物である、ということを考慮すれば、 それらしくなります。
他の戦闘系技能の修得を使っ て他の技能・流派と掛け持ちしている場合などは、反対に(a)(b)に何年か加え ましょう。
注:
これらのエピソードは、プレイヤーが個人設定時に作るのではなく、
プレイ中に起こった場合にだけ認めた方がよいでしょう。
プレイ以外の設定で強さが大きく変わるのは好ましくありませんし、
プレイスタイルとしても美しさに欠けます。 (反対に、そういうのをありありにして、奥義が炸裂しまくる戦闘をやって しまうのもまた一興ではありますが。でも炸裂というほど派手な奥義はないですね。) |
新陰流 |
親玉戦闘において、 後の先をとる、つまり「先手判定に勝って、相手に攻撃させることを選んだ」場合、 そのターンのすべての判定のダイス目に+1を加えることができる。
親玉戦闘において、 無刀で敵に向かう場合、 相手との間合いが1で、先手判定に勝利し、 なおかつ自分の《剣術》と相手の〈敏捷〉の対抗判定にも 勝利したなら、相手の刀を奪うことができる。
タイ捨流 |
雑魚戦闘においては、一度に三人ではなく四人までを相手にすることができる。
親玉戦闘においては、 「間合いを調整しながら攻撃」の際の命中判定・致死判定の修正を無効にできる。
直心影流 |
竹刀稽古に偏ると、最高の域に達するまでは、 剣を当てることは達者になるが、本当に手の内の締まった一撃は出せなくなる。
適用レベル内の直心影流の剣士は、命中判定値に +1 できるが、 致死判定では、判定値に -1 して判定しなければならない。
この域に達すれば、致死判定値のマイナスのペナルティはなくなる。 すなわち命中判定は +1 で、致死判定は修正なしで行う。
示現流 |
初太刀、すなわち最初の攻撃(先手判定に勝利して「攻撃」などを選んだ場合でも、 「かわし」に成功して先手を得た場合でも同じ)では、 命中判定値および致死判定値に +1 することができる。
また、 防御側は、その鋭い打ち込みを「受け」ることに成功しても、攻撃側が腕力判定に成功すれば、 その鋭い打ち込みによって、受けた刀ごと押し切られてしまう。 致死判定を行うこと。 防御側が勝利したときは通常どおり。 なお、「流す」「かわす」ことは普通にできる。
この特典が得られるのは初太刀だけである。
親玉戦闘において、 「間合いを調節しながら攻撃」の際、命中判定の目標値修正を +1 では なく +2、+3、…とすることで、 間合いの調整を詰める方向に 2、3、…とできる。上限は +12 まで。
例えば、「間合い10」で対峙していても、命中判定の目標値修正を +7 することで、 いっきに「間合い3」まで詰めて攻撃できる。
間合いを離すときには適用されない。
基本的には「鋭い初太刀」と同じであるが、次の点が異なる。
薬丸自顕流 |
刀が鞘に納まっている状態からの攻撃は、致死判定の目標値を -1 する。
また《抜刀術》と同様に、 「近すぎる間合いの攻撃」の目標値修正を1減らすことができる。
一刀流 |
払捨刀を身につけると、乱戦に強くなる。 雑魚戦闘において、3人ではなく4人を相手にできる。
相手の攻撃の「かわし」に成功したならば、 命中判定を省略し、そのまま直に命中となる。 致死判定を行うこと。
不意打ちを受けた際、 勘働き判定に成功したならば、無条件でこちらの振るった刀が相手に命中する。 致死判定を行うこと。
北辰一刀流 |
《剣術(北辰一刀流)》の修行開始時に、 2季節分、すなわち (師匠のレベル × 自分の《才能》 × 2) の 仮修行ポイント (他の戦闘系技能の使用 参照)を得ることができる。 他の戦闘系技能の習得ルールの場合には、仮レベルによって計算された 仮修行ポイントに、さらに上記の仮修行ポイントを加えることができる。
二天一流 |
二刀流によって次の特典が得られる。
攻撃を回避する場合、 回避判定値を求める前に、「五分の見切り」を行うことを宣言する。 そうして、回避判定値から -1 して「かわし」を行う。
「かわし」に成功したなら、反撃の際のこちらの命中判定値の修正を、 +3 ではなく +5 にして判定する。
回避時の回避判定値の修正が -2 に、 反撃の際の命中判定値の修正が +7 になる。
天然理心流 |
剣を器用に当てるためのテクニックこそ弱いものの、 本当に手の内の締まった一撃を放つことができる。
適用レベル内の天然理心流の剣士は、命中判定値から -1 されるが、 致死判定値には +1 をして判定することができる。
適用レベルよりレベルが上がれば、命中判定値の修正は不用になる。
刀で「突き」を行うとき、命中判定値のダイス目に +3 できる。
この奥義を使用するには、 まず、ターンの最初に「気合術を試みる」ことを宣言する。
そして、目視範囲にいる敵それぞれと〈気合い〉で対抗判定する (雑魚キャラの場合は〈先手判定値〉で代用)。 「気合術」をかける対象(不特定多数)は、必ず視線が直接通る場所に いなければならない(例えば、遠眼鏡(望遠鏡)や鏡ごしでは不可。 (あまりないだろうが)視力矯正用の眼鏡なら可である)。
こちらが勝利した相手は、 「対抗判定で『気合術』を試みた側が上回ったターン数」だけ行動不能になる。
ただし、「気合術」を用いたターンには、そのほかの行動はできない。 防御もできないので、使いどころに注意が必要である。
念流 |
相手の攻撃を「かわし」て攻撃する際、 7分3分まで引き付けて攻撃しているため、 命中判定値へのプラス値を +3 ではなく +4 とすることができる。
相手の攻撃を「受け」たとき、 「米糊つけ」を宣言すれば、腕力判定のこちらの〈腕力〉に《剣術》を加えることができる。 この、修正を加えた腕力判定に勝利したならば、 相手は「米糊つけ」にかかったことになる。
相手がこちらの米糊つけにかかったときは、 1ターンに一度、脱出されるかどうかを先ほどと同様な(修正を加えた)腕力判定で判定する。 米糊つけにかかった側が勝利したならば、米糊つけから逃れられて、通常の対峙に復帰する。
米糊つけを仕掛けた側は、 いつでも望むときに米糊つけを外し、攻撃に転じることができる。 この際、相手の回避判定値から「勝利し続けたターン数(最初のターンも含む)」を 引いて命中判定すること。命中したならば致死判定は通常どおり(修正なし)で行う。
無論この効果は、相手が米糊つけから逃れた場合には適用されない。
心形刀流 |
心形刀流の剣士は、対峙のときの先手判定に対して、 自身の〈気合い〉と〈精神力〉を各ターンで好きなように再配分することができる。
もちろん、これは対峙のときのみにかぎられ、たとえば戦闘中に、 対峙以外で〈精神力〉判定があったとしても再配分はできない。
無外流 |
剣の中で禅を行うという考え方どおり、戦闘中のあらゆる〈精神力〉および〈勘働き〉 判定に +1 することができる。