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付録 参考文献紹介


本章では、本書を執筆するのに参考にした文献を紹介します。 本書では、なるべく広い事柄をご紹介しようと試みたため、 一つ一つの説明については多少食い足りなくなってしまったきらいがあります。 本書で説明した流派や武器についてより興味を持たれたならば、これらの文献をあたってください。

日本伝承武芸流派総覧読本 (別冊歴史読本19-7:読本シリーズ7)

新人物往来社 /'94.3 / 1900

本書執筆にあたってのバイブルです。実在の流派の歴史・特徴・理合を、 その流派の現在の伝承者自らが筆を取って紹介してくれるという、 聞くだにすばらしい本です。

さらに史伝的読み物・漫画、そして現在に武芸を伝える御三方のエッセイ。 読み応えある一冊です。

雑誌扱いなので、出版社に問い合わせて在庫がなければ、 古本屋を探すしかないでしょうが、それだけの価値はあります。 とにかく一冊、といえばこれしかないでしょう。

唸る豪剣、閃く秘剣 --- 日本剣豪列伝 --- (歴史読本スペシャル38)

新人物往来社 /'92.2 / 990

「日本伝承武芸流派総覧読本」の兄弟に当たります。 あちらが流派中心ならばこちらは人中心。巻頭を飾る、実際に剣豪が差していた刀の写真から、 戸部新十郎による総論、「決闘の剣豪」「大名の剣豪」「明治の剣豪」などに分類された剣豪の説明、 縄田一男・永田哲郎・石井冨士弥によるチャンバラ映画に関する座談会などなど、 こちらも読み応えばっちりです。 巻末の辞典を兼ねた索引もグッド。

こちらも雑誌扱いで、 たぶんこちらの方が入手は困難だとおもうのですが、 古本屋などを根気よく探してみることをお勧めします。

剣の達人データファイル(歴史読本スペシャル50)

新人物往来社 /'95.5 / 1200

なんか表紙からして軟派な本です。下の方に真侍魂のロゴが入ってたりするし。

内容はというと、それこそ古今の実在・虚構の剣豪を数多くならべ、大胆にも「知力」「精神力」「体力」 「政治力・組織力」「修行度」「必殺剣」の6項目について、五段階評価を試みるというものです。 例えば実在の剣豪では、宮本武蔵が5-5-5-4-5-5点、柳生十兵衛が5-4-4-3-4-5点、近藤勇が4-5-4-3-3-5点、 男谷信友が5-5-4-4-5-5点、といったところです。 虚構の剣豪では、椿三十郎が5-5-5-5-4-5点、鬼平が5-4-4-4-4-5点、眠狂四郎が5-5-5-2-3-5点など。

もちろん執筆者の主観入りまくりですし、点数は絶対的評価になり得ないですが、 なるほどと参考になるので、これはなかなか面白い試みだと思います。

それから何といっても笑えるのが「歴読ツッコミ講座:「真侍魂」キャラのモデルは誰だ?」です。 覇王丸が近藤勇、橘右京が沖田総司、 シャルロットのサファイアとかというのはまあ良い (沖田総司はあんなにナルシー入ってない、 とか、サファイアよりオスカルだろー、とかいうツッコミは無し) 。 ナコルルの「シャクシャイン」が爆笑。 「ナコルルとシャクシャインの間には、性別という大きな違いがある」ってオイ。 ガルフォードのモデルも傑作です。読んで笑ってください。

出たのが比較的新しい(といっても1年前ですが)ので、 まだバックナンバーはあるか?  役に立つ上に、とにかく笑えます。ぜひ読んで見てください。

現代武道全書(別冊歴史読本19-41:読本シリーズ9)

新人物往来社 /'94.11 / 1900

こちらは現代に残るスポーツ武道(とも一概に言えないですが)についてです。

収録されているのは武道は、弓道・剣道・居合道・杖道・薙刀・相撲・柔道・空手・合気道・ 少林寺拳法 (私は少林寺拳法が日本由来の武道であることをこの本で始めて知りました。)・ 日本拳法・銃剣道・新体道・逮捕術・中国拳法・テコンドー・ボクシング・レスリング・サンボ・ グレイシー柔術、以上20種類。 それぞれの武道について、簡単な説明をしたのち、 近世における功労者をアトランダムに紹介しています。

さらに「大日本武徳会」についての小史、直心影流薙刀術の園部秀雄を描いた漫画、 「昭和武蔵」と呼ばれた横紙破りの武道の達人、鹿島神流18代師範・国井善弥についての史伝など、 面白い記事が満載。これも手に入ればぜひ読みたい一冊です。

決定版「秘伝」のすべて(別冊歴史読本:歴史ロマンシリーズ)

新人物往来社 /'95.2 / 1800

武芸における「秘伝」にスポットを当てた本です。

秘伝というものを、武芸者が残した言葉、現在に伝わる武道に伝承されていること、 運動科学、などのさまざまな切り口から解明しようという一冊です。 特に、最もページ数を多く割いている『「秘伝」人物特集』は読み応えあり。 巻末の資料編も、「秘伝道歌」はじっくり読むと奥深いものですし、 秘伝書一覧・極意参考文献も、本気で学びたい方には役立つでしょう。

兵法秘伝考

戸部新十郎 / 新人物往来社 /'95.3 / 8500

戸部新十郎が「月刊 武道」に連載した内容をまとめたもので、 大きく分けて本編と伝書編があります。

本編は、例えば「一の太刀」や「音無しの構え」「巌の身」といった秘伝について、 エッセイ風にまとめたもので、実際の伝書を資料とするだけではなく、 立川文庫や小説、映画といったどちらかといえば低俗なものまでも引き合いに出して、 剣理をわかりやすく説いています。

そして伝書編は、さまざまな実在流派の伝書を実際に収録しています。 これらをまとまった形で目にすることができるという意味で、 この本の価値は非常に高いです。

ちょっと高価ですが(私は古本で買いましたが、それでも6千円ぐらいしました)、 手元にあると自慢できたりするかもしれません。

日本剣豪100選

綿谷雪 / 秋田書店 /'71 / 680

値段は大嘘でしょう。というか、今は絶版かもしれません。 何しろ私が生まれた年に書かれた本なのですから(笑)。

その名の通り、日本の剣豪を100人選び、それぞれのエピソード、流派、系図などを記した本です。 作者の綿谷雪(わたたに・きよし)氏は、日本における古武道研究の 権威であり、その正確な考証、写真などの豊富な資料は、一読の価値十分にありです。

多分、図書館や古本屋などでなければ見つからないとおもいますが、 よければ探して見てください。

武芸流派100選

綿谷雪 / 秋田書店 /'72 / 890

前掲の「日本剣豪100選」の弟分です。 何かといえば「日本剣豪100選を参考のこと」と出てくるので、 両方手元にないとちょっとありがたみが薄れますが、単独でも十分面白い本です。 特に剣術以外の流派はこちらでなければ触れられていませんので。

特に巻末60ページほどの「図説・武芸十八般」が読み応え十分。 これだけのために一度読んでもいいでしょう。

残念ながらこの本も入手困難かも。私は前掲の「日本剣豪100選」とセットで5000円ほどで 買った覚えがあるのですが、いまいち記憶があいまいです。でも、それぐらいの価値は十分あります。

日本武術神妙記

中里介山 / 島津書房 /'94 / 7800

「大菩薩峠」の中里介山の武術に関するエッセイです。

中里介山自身は'94年にはとっくに亡くなっているのですが、 活字のかすれが目立つこと、旧字体・旧仮名であることから見て、 昔に出版されたものを写真製版したものなのでしょう。

内容は、著名な武芸者たちについてのエピソードを連ねたものなのですが、 徳川家康や武田信玄などといった戦国大名のエピソードが並んでいるのが面白いところです。

旧字体・旧仮名が苦手でない人は読んでみると得るところが多いでしょう。 私もいま久しぶりに読み返しましたが、やはり面白いです。 ちょっと高いですけれど。

武器と防具 日本編

戸田藤成 / 新紀元社 /'94 / 1900

新紀元社のおなじみ“Truth In Fantasy”シリーズです。 本書「日本剣豪譚(演遊編)」の第二章 武器は、全面的にこの本を参考にしました。 実際、非常によく書けているとおもいます。 元々RPGを目指して書かれているだけに、 分かりやすい説明、豊富なイラスト、かっこいい組み版(ま、それはどうでもよいのですが)など、 イメージ作りには非常に参考になります。

改定新版 柴田光男の刀剣ハンドブック

柴田光男 / 光芸出版 /'95 / 1000

刀剣美術の入門書という感じです。

日本刀の製法・歴史・分類・用語解説などは、 日本刀というものを知る上で非常に参考になります。 私の場合、前掲「武器と防具 日本編」で食い足りないと思った記述は、 こちらに当たって調べました。

また、美術的な鑑賞のポイント、入手・手入れ方法なども、 時代小説から刀剣美術に転んでしまいたくなった人には役立つでしょう。 私はまだそこまでは行ってませんが。


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