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作品紹介 --- なにぬねの ---

最強の剣豪は誰だ?  --- 日本剣豪譚 ---

戸部新十郎,
日本剣豪譚(戦国編〉,
光文社 (光文社時代小説文庫),
ISBN4-334-70993-1
戸部新十郎,
日本剣豪譚(江戸編〉,
光文社 (光文社時代小説文庫),
ISBN4-334-70994-X
戸部新十郎,
日本剣豪譚(幕末編〉,
光文社 (光文社時代小説文庫),
ISBN4-334-71674-1
戸部新十郎,
日本剣豪譚(維新編〉,
光文社 (光文社時代小説文庫),
ISBN4-334-72040-4
戸部新十郎,
明治剣客伝(日本剣豪譚),
光文社 (光文社時代小説文庫),
ISBN4-334-72243-1

実在の剣豪を書いた小説は多々あります。その中で、自らも無外流居合の免許を持つ、戸部新十郎の「日本剣豪譚」のなかで、ここでは「戦国編」「幕末編」を紹介しましょう。

源平合戦の頃から工夫されてきた技法が体系化、分類され、現在知られているような剣術の形になったのは、戦国時代から江戸初期であると言われています。「〈戦国編〉」は、宮本武蔵や塚原卜伝、上泉伊勢守、伊東一刀斎、富田勢源といった「剣法中興の祖たち」の生きざまを描いています。

幕末は、江戸時代の長い歴史の中でも、非常に剣術の流行した時代でした。「〈幕末編〉」では、「技は千葉、力は斎藤、位は桃井」と称された江戸三道場の流祖である千葉周作、斎藤弥九郎を始め、明治の剣術界に大きな影響を残した男谷精一郎、「剣を学ぶにはまず心を学べ」の名台詞で知られる島田虎之助、新選組の近藤勇、「人斬り」河上彦斎などを取り上げています。

彼らが生まれ、剣に開眼し、あるものは成功し、またあるものは挫折を味わう。そういった剣豪たちの生き方を、資料と、筆者自身の剣術に対する豊富な知識を踏まえた、淡々とした語り口で綴っています。剣の心を知るためには、ぜひとも一読するべきです。

ここでは紹介していない「江戸編」「維新編」、それに「明治剣客伝」も、非常に面白いのでオススメできます。

捕物帳は推理小説だ  --- 人形佐七捕物帳 ---

横溝正史,
遠眼鏡の殿様,
春陽堂書店 (春陽文庫),

捕物帳と言えども事件が起こり、解決する人がいるのであれば、森村誠一の言葉を借りれば、「捕物帳はおおむね江戸時代を舞台にした探偵小説である」(「半七捕物帳(二)」解説より)のです。だから、推理小説家で時代小説を書いている人は大勢います。そういう意味でいえば、横溝正史「人形佐七捕物帳」は一読の価値あり。作者の横溝正史はあまりにも有名でしょう。

お玉ヶ池にすむ岡っ引、佐七は、人形のような男前で、人形佐七と呼ばれています。その器量のせいか、腰の落ち着かなかった佐七ですが、ある事件で名を上げてからは目を見張る大活躍。子分の辰五郎とうらなりの豆六、それにもと花魁で悋気持ちの女房お粂を入れての四人で、さまざまな事件を解決していきます。

いかにも横溝正史らしく、凄惨な殺人、巧妙なトリック。まさに一級品の推理小説といえましょう。


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