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はじめに


今回は「秘伝の声」を手にとっていただきまして、まことにありがとうございます。

「秘伝の声」もついに三度目のお目見えとなりますが、日頃ごひいきにいただいているみなさまにも、初めてお目にかかることになるみなさまにも、深く感謝いたしております。今後ともよろしくお願いいたします。


「時代劇・時代小説の魅力をあますところなく再現しよう」、それが「秘伝の声」の狙いです。

私が好きなRPGシステムは、RuneQuest、Shadowrunといった「世界観が唸りを上げて攻めてくる」タイプです。RuneQuestの青銅器と血と汗が臭ってきそうな世界も、Shadowrunのデッドリーで猥雑でどことなく冷たい世界も、そのなかでさまざまな経験をすることを想像するだけでもわくわくできるすばらしいものです。

時代小説が描く「江戸時代」というのは、これらの世界に負けないぐらい魅力あふれる世界だと思っています。このすばらしい材料を、RPGという娯楽に、なるべく素材の味を生かして提供したい、それが「秘伝の声」の目指すところです。

ですから、時代劇・時代小説が好きな人はもちろん、そうでない方にも一つの架空ワールドとして楽しんでいただいて、そこから時代劇・時代小説の道に入っていただけたら、私たちの幸いとするところです。


お気づきとは思いますが、「秘伝の声」は「リサーチ主義」です。これは、みなさんがプレイするに当たって、多くのことを知れば知るほど楽しいとしたら、そのお手伝いが少しでもできたら、と考えたからです。

第二章「職業」第八章「江戸の生活」については、なるべく広範な資料からサルベージして書くように努力しました。非常に詳細な各職業の説明、江戸時代の価格表などはその結果です。

ことを江戸時代の中期に限れば、特別な資料に当たることをしなくても、「秘伝の声」だけで、リアルな本格時代劇風のプレイを十分楽しむことができます。

ですが、これらの資料は単に提供しているだけで、必ず使う必要はありません。勧善懲悪時代劇風に遊んでいただくのも楽しいでしょう。


システム的には:

などということが特徴としてあげられます。どれも時代劇・時代小説らしさを出すために工夫されたものです。

今回の第3版に当たってはルールを大幅に見直し、ゲームとしての面白さは格段に向上したのではないかと考えています。


さて。

時代小説はもはやブームではなく、しっかりと大地に根を張って、復活を遂げたといって良いのではないかと思います。テレビ時代劇も、まだまだ不満は残るものの、時代小説を読みなれた目でみてもそれなりに見ることができる作品がいくつか生まれています。

しかし、第2版の「はじめに」で書いたこの言葉を、私は半分残念に、また半分誇りに思いながら繰り返さなければならないようです。

本格時代劇をプレイするに足るRPGシステムは「秘伝の声」だけである
と。

今回の「秘伝の声」は、少しでも完成度をあげるために、メンバー全員が一丸となって取り組んだ成果であるといえると思います。第2版までが

「富田浩之火盗改メ」
の作品だとすれば、第3版はやっと
「富田浩之と火盗改メ」
の作品だ、といえるようになったのではないかと思います。

ぜひ、「秘伝の声」で、時代劇・時代小説を舞台としたRPGの楽しさを満喫してください。


それでは、我々の時代劇・時代小説に対する愛情がみなさまに伝わりますことを、そして楽しい「江戸時代」ワールドにてみなさまにお会いすることを願いまして……。
富田浩之と火盗改メ
組み版およびちゃちゃ入れ兼
「秘伝の声」ウェブペェジ管理人
さらにはあやしいRPG探究担当

小笠原徳彦



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