物は当たって砕けろ
--- 閑情末摘花‐三
キャラクターはゲーム中様々な行動をします。 時にそれがむずかしいものであったり、 複雑な作業や細心の注意を必要とする行動をすることもあります。 そうした行動は行動判定により、成否を決定します。
五ノ一 行動判定の方法 |
行動判定の際、ゲームマスターは目標値を設定します。 目標値は
目標値 = 行動の難易度 + 2D
判定値 = (《技能》あるいは《特技》) + (〈能力値〉 ただし0以下は 0) + 2D
特技には対応能力値が決められていますのでそれを用います。
技能は、特技よりさらに広く用いることができます。 特に対応能力値は決められていませんから、技能に対応する知識、技などの判定に使用することができます。 たとえば、板前が《料理》の技能を持っている場合、料理の腕前の判定(〈器用〉で判定) だけでなく、 〈知識〉を用いて判定することで、料理の知識 、他人の料理の出来映えを見る、有名な板前についての評判、 などの行動判定に使うことができます。
ゲームマスターが要求した技能も特技がない場合、またはGMが単に能力値で判定させたい場合は、 次のように判定値を求めます。
判定値 = 能力値 + 2D
こうして求めた判定値と目標値を比べ、 判定値が目標値以上であれば、その行動は成功したことになります。
五ノ二 行動の難易度 |
ゲームマスターは目標値を決める際に難易度を設定します。 難易度はゲームマスターの任意です。 「難易度の程度」に難易度の程度を示しますので参考にしてください。 また、目標値は2Dのかわりに7を難易度に加えたものでもかまいません。 これを簡易目標値といいます。
難易度 | 簡易目標値 | 程度 |
---|---|---|
-3 | 4 | とても容易な行動。一般人でもできる。 |
-2 | 5 | 容易な行動。不得意な行動でも五分五分。 |
-1 | 6 | 容易だが、気を抜くと失敗する。 |
0 | 7 | 一般人には五分五分。 |
1 | 8 | 少しかじった程度なら何とかできる。 |
2 | 9 | 少しかじった程度で五分五分。 |
3 | 10 | 熟練者なら楽勝。初級者では失敗が多い。 |
4 | 11 | 初級者ではむずかしい。 |
5 | 12 | ある程度の熟練が必要。 |
6 | 13 | 熟練した者でも気は抜けない。 |
7 | 14 | 熟練者でも五分五分。 |
8 | 15 | 熟練者でも失敗が多い。達人の域。 |
9 | 16 | その道の達人ならばなんとかできる。 |
10 | 17 | 名人の域。 |
五ノ三 効果的行動 |
プレイヤーが行動判定をするとき、 振ったダイスの目が両方とも6 (6ゾロ)だったときには、 さらにもう一度2Dして、その値を判定値に加えることができます。 これを成功効果と呼びます。
逆に、行動判定のダイス目が両方とも1 (1ゾロ)だった場合には、すべての行動は失敗となります。 これを失敗効果と呼びます。
6ゾロ(成功効果)の後に振り足す2Dはその値が判定値に足し加えられるだけです。 6ゾロ、あるいは1ゾロであっても、成功効果も失敗効果も適用されません。
五ノ四 特徴による修正 |
キャラクターがとった特徴によって行動判定に修正が加えられることがあります。 例えば、交渉するときに容貌がよければ相手に与える印象は悪くないでしょう。 また、一抱えもある荷物を片手のキャラクターが運ぶのは少々努力が必要です。
そうした特別な行動判定には、判定値に関係する特徴の消費CP分の修正を加えます。 ただし、特徴の中で特に修正値を指定しているものは それにしたがって修正を加えてください。
五ノ五 座布団 |
「座布団」とは、キャラクターが優れた行動をしたときや格好いい台詞を言ったときなど、 GMの心を感動させるようなことをキャラクターが行ったときに、 GMから与えられるものです。
座布団は、セッション終了後にCPに変換することができます。 またオプションルールとして、判定を有利にしたり、戦闘の結果をよくしたり することも可能です。
GMは「座布団」を与えるときには「座布団一枚!」とプレイヤーに宣言します。 一度に何枚与えるかも、シナリオ中に何回与えるかも、 GMの任意ですが、与えすぎないように注意してください。 1プレイ中に一人2、3枚を上限にすればよいでしょう。
得た座布団は、個人設定用紙の「座布団」の欄に記録します。
プレイヤーは座布団をねらって大いにプレイを盛り上げてください。
このルールはオプションルールです。
行動判定のダイスを振った後、「座布団」を1消費することで、 出たダイスの結果を二つとも無効にして、 新たにダイスを振り直すことができます。
行動判定の結果は、振り直されたダイス目で求められます。 たとえ、振り直した結果が前のダイス目より悪くても、振り 直した方のダイス目が適用されます。
また、振り直しは必ず二個のダイスについて行われます。 一個残してもう一個振り直すことはできません。
振り直しは、座布団を消費する限り、一回の判定で何度でも 行えます。なお、消費した座布団は永久に失われます。
このルールは、PC、NPCともに適用されます。
五ノ六 対抗判定 |
対抗判定というのは、複数のキャラクターがある行動に対して、 お互いの能力の優劣を比べ合う判定です。 例えば、誰かが隠したものを捜す、 気配を消して潜んでいる敵の場所を感知するなど、 様々な状況で用いられます。
対抗判定はお互いの行動判定の値の大きさで行動の優劣を決定します。 ます、先に行動するキャラクターが使用する技能・特技と対応能力値に2Dの値を加えて行動判定値を算出します。 そして後に行動するキャラクターが、 先に行動したキャラクターの行動判定値を目標値にして行動判定をします。 成功すれば、後に行動した者の勝ちです。 失敗すれば、先に行動した者の勝ちです。
例をあげましょう。 甲と乙の二人がかくれんぼをします。 乙が鬼で、甲は《姿隠し》の特技を使って身を隠します。 甲の〈器用〉は +1。 《姿隠し》は2レベルとします。 甲は行動判定値を算出します。 2 (《姿隠し》) + 1 (《器用》) + 2D の値が甲の行動判定値となります。
乙は《探索》レベル3の特技を使って、甲を捜します。 《探索》の対応能力である知覚は0。 先ほど算出した甲の行動判定値を目標値にして、 乙が行動判定をします。 3 (《探索》) + 0 (《知覚》) + 2D の値が甲の行動判定値以下なら、 乙は甲を見つけることはできません。 しかし、甲の判定値より上なら、乙は甲を見つけることができます。
なお、対抗判定にも効果的行動はあります。 6ゾロの成功効果、1ゾロの失敗効果に従って、対抗判定を解決してください。 ただし、対抗判定では、効果的行動のルールは、難易度決定と判定値決定の双方に適応されます。 この際、両者が1ゾロ(失敗効果)の場合は、どちらも単に2Dの値を2と見て判定します。
五ノ七 さまざまな判定 |
ここでは、「秘伝の声」をプレイするさいに使用するさまざまな判定について、 アトランダムに例を挙げて説明します。
ここでの説明は数値も含めてあくまでも例ですので、GMはこれらにとらわれることなく、 臨機応変に対応していくようにしてください。
《跳躍》 高跳び、幅跳びの両方に使うことができます。 それぞれ、助走のあるなしで、難易度0は次の表のようになります。
助走なし | 助走あり | 難易度の単位 | |
---|---|---|---|
高飛び | 2尺 | 3尺 | 1尺 |
幅飛び | 5尺 | 6尺 | 2尺 |
例えば、助走をつけて3間(=18尺=約5.4メートル)を跳び越す難易度は5になりますし、助走なしで高さ1丈(=10尺=約3メートル)の塀を飛び越える難易度は8になります。 また、同じ距離であっても、失敗が許されない場合の難易度は高めにした方がいいでしょう。 例えば、高い岩から岩へ飛び越えるのは、 浅く流れがゆるやかな川を跳び越えるより困難ですから、難易度を上げるなどするわけです。
《持ち上げ》 抱え上げて持つ場合、15貫(56.25キロ)を難易度0とします。 例えば17貫(63.75キロ)なら、17-15=2が難易度になります。 なお、端数は切り捨ててください。例えば70キロ=18.67貫ですが、 難易度は3としてください。 もちろん、場合によって修正が加わります。 例えば棒状のものを剣のように握って持つなら、難易度は3程度の修正が加わるでしょう。
視界の修正 遠くのものを見たりする判定としては、能力値〈知覚〉を用います。 距離や対象物の大きさに応じて、適切な難易度を決めるのです。
淡い霧が出ている | 4 |
濃い霧が出ている | 6 |
霧雨が降っている | 3 |
どしゃ降り | 7 |
月夜 (満月) | 2 |
月夜 (半月) | 4 |
星が出ている夜 | 6 |
闇夜 | 8 |
雨が降っている夜 | 10 |
しかし、江戸時代というのは現代に比べて照明が発達していないため、 夜や天候が悪いときなどは、大きく視界が左右されます。 難易度への修正例をいくつか挙げます。
ここで、特技〈暗視〉を持っている場合、 この修正分をレベル分まで打ち消すことができます。
例えば「淡い霧が出ている」の修正は4なので、〈暗視〉のレベルが10であっても、
修正に +4 までしか加えることは出来ません。
疲労などによる修正 キャラクターが疲れきっていたり、空腹だったり、酒を飲んだりといった ときには、すべての判定行為の難易度にプラスされます。 具体的な例を挙げてみましょう。
前のご飯をぬいた | 2 |
丸一日なにも食べていない | 5 |
一日働きづめに働いた | 3 |
前の晩徹夜した | 6 |
晩酌程度 | 1 |
ゆっくり飲んだ | 5 |
浴びるほど飲んだ | 10 |
これら難易度の修正は、空腹・疲労についてはそれが回復するまで、 飲酒については一眠りするまで持続します。
ただし特徴「酒の耐性」をとっている場合は、 上記のなかで酒に関する修正 (最後の三つ) は、 消費CPを修正値から引いて判定します。ただし、引いた結果がマイナスになったら修正は0、つまりもともとの難易度と変わりません。 酒の影響を受けないということになります。
例えば「酒の耐性」5の酒豪が「晩酌程度」の酒をたしなんだとき、
難易度修正は 1-5 = -4 ではなく、0となります。
特徴・性格と対人行為 特徴の「容貌」と「声」は、プラスであれば相手に好印象を、 マイナスであれば悪い印象を与えることもあります。 また、性格「内気」も、対人判定に修正をもたらす要素です。
これらの判定の修正ですが、状況に応じて修正は変わるので具体的な数字を挙げることはしません。 しかし、さまざまな場合を勘案して、もっとも影響を強く受けるときの対人行動判定の 修正が消費CPになる、と考えてください。
また、特に特徴による修正は、第一印象としてのほうが特に判定に強い影響を与える、 としたほうがよいでしょう。 例えば知り合いに比べると、 初対面の人には「容貌」や「声」の善し悪しの影響は大きいでしょうし、 特技《交渉》を用いる場合よりも《いいくるめ》を用いる場合の方が影響を受け易い、 などとするわけです。
技能と対人判定 技能は、特に対応能力値がある訳ではありません。 ですから、 対人判定においても、〈知恵〉を用いてその分野についての有名人を知っているかどうかを判定したり、 〈知覚〉を用いて、人の能力を見切れるかどうかを判定したりすることができます。
特にコネとして技能を用いる手段は有効です。積極的に使うように、 またGMはプレイヤーに使わせるようにするとよいでしょう。
「発作」および「不治の病」の特徴を持っているキャラクターは、 緊張状態にある場合、〈気合い〉判定を行って、失敗したら行動不能になる、と あります。この判定の難易度はどのように決めたら良いでしょうか。
基本的には、おおざっぱですが次のようにしてはいかがでしょうか。
「発作」 | 「不治の病」 | |
---|---|---|
雑魚戦闘 | -6 | -4 |
親玉戦闘の対峙 | -2 | 0 |
軽い緊張 | -4 | -2 |
普通の緊張 | 0 | 2 |
強い緊張 | 2 | 4 |
絶対に失敗は許されない | 5 | 7 |
戦闘時の判定は、毎ターン行います。 したがって、戦闘が長引けば長引くほど「発作」「不治の病」を取っている キャラクターは厳しくなることに注意してください。
経験能力値の一つに〈勘働き〉があります。 これは、なんの根拠もなく確信を得たり、 ふと何かがあるような気がして行動するという、 そうした勘のことです。
勘働きの判定はGMが任意にプレイヤーに指示します。 判定方法は 〈勘働き〉+ 2D になります。 もちろん無条件成功、失敗もあります。 成功したときには、 PCは自分の経験によって得られた勘が働いて、 事件の糸口を掴んだり、相手の微妙な仕草に気づいたりします。 判定に成功していれば、その勘が外れることはありません。 ただし、勘働き判定だけでははっきりしたことはわかりません。 ただなんとなくそう思うだけだということなのです。