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第四章 特技と技能
身の内の財は朽ちることなし
--- 諸道聴耳世間猿‐二
能力値とは異なり、経験の積み重ねによって伸びる技術、それが技能と特技です。
例え能力値が劣っていても、
ある分野に関してはこの二つによって人より優れた技術を修得することができます。
これもまたキャラクターの個性を表すものです。
技能と特技はキャラクターの持つ技術を表す数値ですが、
意味合いが多少異なっています。
その違いが「秘伝の声」の特徴の一つといえるでしょう。
技能は、キャラクター達が生涯をかけて極めていく技術のことです。
技能は職業と密接な関係にあり、「プロの技術」と言い換えることもできるでしょう。
技能は「学ぶ」姿勢を基本に経験を積み、向上していきます。
そのため、学ぶ機会と、ある程度継続した修行期間がなくては身につけることができません。
技能は、職業につくことで、修得する機会が得られます。
各職業には、修得できる技能が決められています。
また、その職業についている期間が、各職業データに示された技能を修行できる期間となります。
また、キャラクターは、修行する技能を決定した時点で、「才能」を決めなくてはなりません。
才能はCPを消費することによって得ることができます。
才能は、10CP消費して、1ポイント得ることができます。
技能の成長は修行ポイントの算出によって行われます。
修行ポイントの算出と技能レベルの取得については、一ノ八「経歴」および七ノ一ノ二「1季節経過時の修行ポイント獲得」で詳しく説明していますので、そちらを参照してください。
技能で行動判定をする場合は、その判定に適切な能力値を足すことができます。
技能は、その分野に関連する行動に対して、広く使用することができます。
たとえば、剣術の技能なら、道場で剣術を振るう時の行動判定でも、剣術の知識を試す判定でも、使用する事ができます。
四ノ一ノ一 武術系技能(一般)
主に武士が身につけている技能です。天下太平の江戸においては、
戦さのためよりもむしろ、自己修練のために修行する、
という意味合いが強くなっています。
戦闘の際に利用されるのはこの系統の技能です。
また、武術の腕だけではなく、その武術や武器についての知識なども表します。
- 剣術
- 武士の魂である刀を扱う技能。
武士の間では最も修行されている。
- 槍術
-
槍を中心とした長柄の武器を扱う技能。
しかし、長柄の武器を持ち歩いている武士はあまり見かけない。
- 薙刀術
-
薙刀(なぎなた)を扱う技能。
どちらかというと男性よりも婦女子が護身のために学ぶことが多かった。
- 柔術
-
現在の柔道と拳法をあわせたような技能。
いわゆる組み打ちの術。
- 棒術
-
棒を持って相手を制する武術についての技能。
- 弓術
-
弓を扱う技能。
- 砲術
-
火縄銃などの火器を扱う技能。
ただし、特殊な技能なので、
何か特別なことがない限り修行する機会は得られない。
- 手裏剣術
-
手裏剣を扱う技能。
手裏剣にもいろいろな種類があるが、
扱えるのは一種類だけである。
四ノ一ノ二 武術系技能(特殊)
武術系技能(一般)と近いですが、こちらは非常に獲得の機会がかぎられている技能です。
- 唐剣術
-
唐剣、つまり中国系の直刀を用いて戦うための技能。
- 相撲
-
相撲を取るための技能。
- 捕縛術
-
相手を捕まえるための武術系技能。
この技能を用いて刃のついた武器を扱うことはできない。
また、殺傷目的の攻撃もできない。
攻撃は捕縛行動となり、相手をとらえることができる。
実際は柔術の一形態と見ることもできる。
四ノ一ノ三 農業系技能
主に農民が身につけている技能です。
- 農業
-
農作物を栽培する技能。
作れる農作物は一種類だけである。
- 牧畜
-
馬、牛、豚などの家畜を飼育する技能。
飼育できる家畜は一種類である。
- 漁
-
漁の知識と実践、漁場管理などをする技能。
さまざまな漁の中から一種類選ぶ。
- 猟
-
山で猟をするための技能。
猟場の管理や、罠作り、仕掛けなども含まれる。
四ノ一ノ四 学術・芸術系技能
武士や商人が、教養として身につけていることが多い技能です。
この種の技能が高ければ、学者や文化人として名がとどろくことでしょう。
- 学術
-
学問を研究するための技能。
国学、蘭学、漢学、本草学(ほんそうがく)、儒学のうち一種類を選ぶ。
- 医学
-
医療を行う技能。
外科、内科、漢方、鍼灸、薬の中から一種類を選ぶ。
大規模な手術はできない。
- 絵画
-
水墨画、浮世絵といった、商売になる絵を描く技能。
絵の種類の中から一種選ぶ。
- 茶道
-
茶の道を極めるための技能。
茶道の技術や知識、礼儀作法なども含まれる。
- 華道
-
生け花を華道として成り立たせる技能。
華道の技術や知識、出来栄えの評価などが含まれる。
- 文学
-
文学を研究したり、創作したりするための技能。
俳句、和歌、読物、草子などの中から一種選ぶ。
四ノ一ノ五 芸能系技能
自分の芸を見せることを生業とするものたちが修得する技能です。
- 舞踊
-
美しく舞い、踊ることができる。
見せ物としても通用する。
- 楽器
-
楽器を美しく奏でることができる。
- 歌舞伎
-
歌舞伎役者として、演じる技能。
- 芸
-
見せ物としての芸をするための技能。
この技能の範中は広く、見せ物の芸はほとんどこの技能の中に入る。
- 芝居
-
芝居小屋を運営していくための技能。その役割は多岐にわたる。
- 夜伽
-
性行為を含めた女郎のテクニック。
四ノ一ノ六 商人系技能
主に商人が習得している技能です。
- 商い
-
商売をするための技能。
店の経営や、顧客、商品の知識、交渉などである。
商人のほとんどはこの技能を持つ。
- 相場商い
-
米、麦、豆、塩、株、金、銀などの相場商いをするための技能。
- 金貸し
-
金を貸して利子をとる商いをするための技能。
金貸しの知識や取り立てもこの中に含まれる。
四ノ一ノ七 職人系技能
専門職について働いている者が持つ技能です。
そのキャラクターの腕前や評判を表す指標にもなります。
- 職工
-
物を作る職人としての技能。
職人の職種から一種類選ぶ。
- あんま
-
人の体を指圧するための技能。
- かごかき
-
かごを揺らさずに早く走る技能。
- 料理
-
料理屋などで、料理を作るための技能。
見た目がきれいで、かつ、おいしい料理を作れ、
また、料理についての知識を得ることができる。
- 操船
-
船を操るための技能。
¥ruby{猪牙船}{ちょきぶね}から千石船までの船の種類から一種選ぶ。
- 火消し
-
消防をするための技能。
火事場での行動、木槌の扱い、竜吐水の使用などが含まれる。
- 飛脚
-
飛脚として郵便物を届けにいくための技能。
旅の心得なども含まれる。
- 家事
-
炊事・洗濯など、家事一般を行う技能。
実際の作業はもちろん、段取りの立て方なども含まれる。
四ノ一ノ八 暗黒街系技能
裏の職業につくことで得られる技能です。
この技能を得た者は人生の裏道を歩むことになるでしょう。
- 仕掛人
-
暗殺の技能。
仕掛の知識と、手段、テクニックなどを身につけている。
ただし、この技術を戦闘に使うことはできない。
- 盗め
-
「つとめ」と読む。
盗賊の盗みの技能。
盗みの知識、方法、手段などを身につけている。
鍵開け、罠はずしには使えない
(《職工(鍵)》などの技能が必要)。
- 掏摸
-
すりをするための技能。
すりの知識や、テクニック、すりとる相手の見極めなどができる。
- 忍術
-
忍術を使用するための技能。
忍者の特別な武器や道具の使用、忍びの知識、忍術の使用などに用いる。
ただし、忍術は魔法ではないので、現実に起こしうる範囲のものとする。
特技はキャラクターの得意技ともいうべき技術のことです。特技はキャラクターを特徴づけるものであり、
「アマチュアの技術」ということができます。特技は様々な種類があり、CPを消費さえすれば、自由に得ることができます。
特技を修得するには2種類の方法があります。
一つは、職業によって得る特技です。職業データに書かれている特技は、その職業について、
最初の一期間過ぎると1レベルずつ得ることができます。
それ以降は、CPを消費することで、特技の値を伸ばすことができます。
また、転職して、一期間過ぎたら、今までに得ていない新しい特技は自動的に1レベルを得ます。
すでに修得している特技に変化はありません。
もう一つは、キャラクター作成時に自由選択して得る特技です。
これはプレイヤーが自由に特技を選んでかまいません。CPを消費しさえすれば、いくつ取ってもかまいません。
また、セッション終了後に得るCPによって、特技を伸ばしたり、新しい特技を得ることもできます。
特技の取得、成長には、CPを消費します。
すべての特技は5CP消費することで1レベル上昇します。特技のレベルの上限は10レベルまでです。
特技には、それぞれ対応能力値というものが決まっています。
行動判定の際に、特技のレベルに対応能力値を加えて判定します。
それ以外の能力値を用いて判定することはできません。
特技リストには様々な種類の特技が記載されていますが、もしGMが必要だと考えた場合は、
自由に特技をつけ加えてかまいません。
四ノ二ノ一 〈腕力〉対応特技
- 喧嘩
-
親玉戦闘をしないような、ただの殴り合いをするときに用いる特技。
相手のけんか、または武術系技能と対抗判定をする。
もしこの特技と武術系技能を持っていれば、両方の値を加えて判定する。
- 畑仕事
-
家庭菜園程度の簡単な畑仕事をするための特技。
- 持ち上げ
-
重いものを持ち上げるための特技。
- 投擲
-
小石程度の物体を遠くへ投げたり、高く投げ上げたりする為の特技。
また、正確に的へ投げ当てる時にも使用できる。
戦闘において、技能《手裏剣術》の代わりに用いることは可能だが、そのかわり、
- 致死判定に成功したら戦闘不能
- 致死判定に失敗したら1ターン行動不能
となる。
四ノ二ノ二 〈敏捷〉対応特技
- 乗馬
-
馬に乗るための特技。
レベルが高いほど馬をうまく操れる。
- 水泳
-
うまく泳ぐための特技。
レベルが高いほどうまく泳げる。
- 踊り
-
うまく踊ることができる。
- 忍び歩き
-
音をたてずに歩くことができる。
相手が気付くには、《聞き耳》の特技による対抗判定の成功が必要。
- 尾行
-
相手に気付かれないように後をつける特技。
相手が気付くためには〈勘働き〉による対抗判定の成功が必要。
- 船漕ぎ
-
上手に船を漕ぐための特技。
- 登はん
-
壁をよじ登るための特技。
登る壁によってGMが任意に目標値を設定する。
- 跳躍
-
高く飛び跳ねたり、幅を飛び越えたりするための特技。
何かを飛び越えようとするときにはGMが任意に目標値を設定して判定する。
- 疾走
-
速く走るための特技。
四ノ二ノ三 〈器用〉対応特技
- 内職
-
内職で何かを作るための特技。作るものを一つ選ぶ。
- 応急処置
-
止血などの応急手当てができる。
戦闘時に傷を負ったものに手当てをする場合、
GMが任意に目標値を設定して行動判定をする。
成功すれば、とりあえず命を落すことはなくなる。
完全に治すには医者に見せなければならない。
- 調理
-
毎日の食卓の料理をおいしく作る特技。
- 絵
-
絵をうまく描くことができる。
- 歌
-
歌をうまく歌うことができる。
- 楽器
-
楽器一種類をうまく演奏することができる。
- 記録
-
誰が見てもわかりやすい記録をつけることができる。
- 書道
-
字をうまく書くことができる。
- 彫刻
-
版画などの彫物をすることができる。
- 演技
-
うまく演技することができる。
- 賭博
-
賭博の知識とイカサマをするための特技。
逆にイカサマを見破ることもできる。
- 偽装
-
物をうまく隠すことができる。
《偽装》により隠したものを発見するには、
《探索》の特技で対抗判定に成功する必要がある。
- 変装
-
うまく変装することができる。
- 釣り
-
魚をうまく釣るための特技。
- 身振り
-
言葉をつかうことなく、身振り手振りの意志疎通をはかるための特技。
- 物まね
-
上手に物まねをするための特技。
- 姿隠し
-
物影にうまく身を隠すことができる特技。
相手が発見するためには、《探索》か勘働きによる対抗判定が必要。
- 裁縫
-
針仕事を上手にするための特技。
- 発汗
-
軽い運動であれば、発汗を自分の意志の下に調整できる。
- 盆栽いじり
-
盆栽についての知識と取り扱いについての特技。
- 無表情
-
いわゆるポーカーフェイスのこと。
自分の感情を押し殺し、表情に出さないことによって、交渉・うそ・賭博・対尋問などの場面で効果を発揮する。
四ノ二ノ四 〈知恵〉対応特技
- 催眠術
-
催眠術を他人にかけることができる。
《催眠術》と相手の〈精神力〉で対抗判定をし、
成功すれば、相手を簡単な命令に従わせることができる。
- 動物知識
-
動物についてよく知っている。
その動物の特徴を聞いて、特定することができる。
目標値はGMが任意に決める。
- 植物知識
-
植物についてよく知っている。
植物の特定や食用か毒性かを見分けることができる。
- 記憶
-
GMが任意に設定した目標値の判定に成功すれば、
忘れたことも思い出すことができる。
- 読み書き
-
字の読み書きができる。
- そろばん
-
そろばんを用いて計算することができる。
- 暗算
-
そろばんを用いなくても計算することができる。
- 軽口
-
冗談や気に触ることをいっても、相手に不信感を与えない。
- 言いくるめ
-
相手の〈知恵〉と対抗判定をして成功すれば、
しぶしぶ納得させることができる。
- うそ
-
相手の〈知恵〉と対抗判定をして成功すれば、
うそをついても気付かれない。
- 礼儀作法
-
正しい礼儀作法を身につけている。
- 魅了
-
異性の相手の〈精神力〉との対抗判定に成功すれば、
相手を自分に夢中にさせることができる。
- 地域知識
-
1レベルにつき一ヶ所の地域についての知識を持つことが出来る。
- 交渉
-
相手と上手に交渉することができる。
- 尋問
-
拷問をせずに相手を自白させることができる。
相手が口を割らないためには、知恵による対抗判定の成功が必要。
- 探索
-
捜し物をする特技。
《偽装》や《姿隠し》の対抗に用いることもできる。
- 読唇術
-
くちびるの動きで、声の聞こえない位置にいる相手の会話を読み取ることができる。
- 爆発物
-
火薬の知識や取り扱いに関する特技。
火薬を用いた罠の設置や解除にも使用できる。
- 拷問
-
拷問についての知識と実行のための特技。
相手が抵抗するためには〈気合い〉または〈精神力〉による対抗判定が必要。
- 値踏み
-
物の価値を正確にはかるための特技。
- 買収
-
金品を用いて相手を買収するための特技。
- 方言
-
一地方の方言をうまく話すための特技。
その土地の出身者であれば、
取る必要はないが、
江戸言葉を方言として取る必要がある。
- 口上
-
うまく口上を述べることができる特技。
淀みなく、迫力をもって話すことができる。
- 誘惑
-
異性を口説くときに用いる。
相手は〈精神力〉による対抗判定に失敗するとそのキャラクターに好意を持つ。
- 仲裁
-
けんかやもめごとを仲裁するための特技。
- 挑発
-
挑発する事によって相手を自分の思うツボにはめることができる。
相手の性格などを考慮の上で目標値が決まる。
戦闘のさいに、ターン開始時に《挑発》を使用することを宣言し、
相手の〈精神力〉との対抗判定に打ち勝てば、そのターンにかぎり、
先手判定の相手の〈精神力〉を $-3$ できる。
四ノ二ノ五 〈知覚〉対応特技
- 暗視
-
夜の暗闇の中でも見ることができる。
ただし、遠くの人物の顔を見分けることができるほどではない。
- 方向感知
-
状況がどうであれ、東西南北を知ることができる。
- 聞き耳
-
小さな物音などをよく聞き取るための特技。
- 時間感覚
-
時間の長さを感覚によって正確にはかることができる特技。
今が何時であるかを知ることはできない。
- 人間観察
-
他者の表情や口調、しぐさなどを読み取り、相手の本心や感情を感知するための特技。
〈うそ〉との対抗判定にもちいることで、相手のうそを見破ることができる。
四ノ二ノ六 〈気合い〉対応特技
- 眼力
-
睨みつけることによって相手を震え上がらせる特技。
相手が気合いによる対抗判定に失敗したら、
簡単な命令に1回だけ従わせることができる。
- 大音声
-
大声を発してその場にいる全員の注意を自分に引き寄せることができる。
- 殺気放射
-
殺気を放射して、相手に自分が攻撃しようとしていることを悟らせる特技。
相手の精神力との対抗判定に成功すれば気付かせることができる。
- 大食い
-
たくさん食べることができる特技。
- 大酒飲み
-
酒をたくさん飲むことができる特技。
- 威圧
-
高圧的な態度に出ることによって、相手をおとなしくさせたり、簡単な命令を受けさせたり、
自分に対して恐怖心を植えつけるなどのことができる。
この特技に対抗する時には、(対抗する側が)逆に優位に立ってやろうという場合は《威圧》を用い、
相手の威圧を受け流して気を削ごうとする場合に〈精神力〉を用いる。
四ノ二ノ六 〈精神力〉対応特技
- 気配消し
-
気配を断つ特技。
相手の視界外にいれば、存在を気付かれない。
相手が気付くためには、
〈勘働き〉あるいは〈知覚〉により対抗判定に成功しなければならない。
四ノ二ノ七 〈勘働き〉対応特技
- 殺気感知
-
攻撃しようと狙っている相手の殺気を感知する特技。
相手の気合いと対抗判定をして、成功すれば不意打ちを受けなくなる。
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